ミュージシャンの彼の部屋は2重窓

昔寿司屋でバイトをしていたとき、店の裏手にあった通用口のすぐ近くで歌っていた彼に、閉店後残っていたお寿司を差し入れしたのがそもそもの始まりだった。それからもたびたび彼にお寿司を差し入れするうちに彼と話をすることが増え、そのうち同い年であること、隣の中学に通っていたこと、共通の知人がいることがわかって一気に距離が縮まり、やがて私達は付き合うことになった。

「ミュージシャンと付き合うなんて、どうせ将来のことは考えてないんでしょ?」って友達には言われたけれど、私はいつか彼と結婚できたらいいな、と思っている。もちろん結婚しても、彼がメジャーになるのを応援するつもりだ。音楽のことはあまりわからない私だけど、まだ彼と付き合う前、初めて彼の歌声を聞いたときに心が震え、この人の歌声をたくさんの人に聞いてもらいたいと思った気持ちは、今でも変わらない。

そんな彼は防音性の高いマンションにバンド仲間とシェアして住んでいる。もちろん部屋の窓は2重窓だ。引っ越し屋のバイトをしつつ、その合間に曲作りや歌の練習にと余念がない。私は私で、大学と寿司屋のバイトで忙しい毎日なので、なかなか二人の時間を作ることができないけれど、夢のために頑張っている彼の芽がいつか出ることを信じて、彼を支えて行こうと思う。